今回の叙序圓ギャラリーは押し花絵『こんにちは』です。
堀野さんの比較的初期の作品で、背景の上にオーガンジー(薄い平織綿布)を被せて遠近感を演出する技法を試した習作です。
押し花の額は作品の裏側に乾燥剤や酸化防止剤を敷き、厚手のアルミフィルムで封をした上で真空に引いて仕上げます。真空によるガラスへの密着で単体より明度が上がる事が多いのですが、この作品では期待より少し暗めになってしまったということです。
押し花額は一旦仕上げますとアルミフィルムを剥ぎ取らない限り修正出来ませんので、基本的には破壊して再作になります。
もう直ぐ梅雨の時期。雨に濡れる紫陽花を表現している…と考えて、暗めな仕上がりを味としてお楽しみください。
【アーティスト紹介】
堀野 篤人
本業は機械設計技術者。伝統工芸鎌倉彫において教授会皆伝免許、押し花において日本ヴォーグ社のインストラクター免許を取得して、自然素材を用いた様々な芸術作品の創作に挑戦。海老名美術協会会員。
鎌倉彫は母である教授会師範の堀野孔翔に師事、その作風「構図を重視した絵画的図案に基づく木彫」の伝承を目指して雅号「研翔」を名乗る。
また押し花においては「押し花ノア」桐ケ谷恵美子先生に師事、花を育てる段階から一貫した作品作りを目指している。