今回の叙序圓ギャラリーは押し花作品『牡丹ニ様』です。
堀野さんにとって比較的初期の押し花作品です。この頃は押し花にするのが難しい花を上手く仕上がげることができることが嬉しく、大急ぎで額に収めていたそうです。
改めて作品を見直してみると、確かに大きな牡丹をそれなりに押せてはいるものの、他の先生方の牡丹を見ると異なる色の花びらを交互に刺したり縁取りしたりと様々な工夫があるので、今では少し恥ずかしく感じているのだとか。
堀野さんの押し花作品では背景に和紙を用いることで全体の品質を高めていて、ご本人にとっては「ちょっとズルをしている」とのこと。この作品に用いた和紙は知人に紹介された巣鴨の専門店『直』様で購入を使われています。
『直』さんは紙の梳き方や染め方に加えて、染める素材も泥や顔料など特徴があり、単体でも十分な芸術的価値を持っています。堀野さんにとっては作品の質を一段引き上げてくれる心強い味方となっています。
【アーティスト紹介】
堀野 篤人
本業は機械設計技術者。伝統工芸鎌倉彫において教授会皆伝免許、押し花において日本ヴォーグ社のインストラクター免許を取得して、自然素材を用いた様々な芸術作品の創作に挑戦。海老名美術協会会員。
鎌倉彫は母である教授会師範の堀野孔翔に師事、その作風「構図を重視した絵画的図案に基づく木彫」の伝承を目指して雅号「研翔」を名乗る。
また押し花においては「押し花ノア」桐ケ谷恵美子先生に師事、花を育てる段階から一貫した作品作りを目指している。