今回の叙序圓ギャラリーは押し花絵の『安らぎの夕べ』です。

本作は2024年秋に発行された日本ヴォーグ社『私の花生活』115号『私の癒し』特集に掲載された作品です。
秋の七草と言えば、萩(ハギ)、葛(クズ)、撫子(ナデシコ)、女郎花(オミナエシ)、藤袴(フジバカマ)、桔梗(キキョウ)そして芒(ススキ)。
本作では基本的に本物を用いていますがススキのみメヒシバを使って大きさを揃えています。
七草の多くは野生では絶滅危惧種ですが園芸品種は購入できるものが増えており、作者の堀野さんは園芸品種をご自宅で栽培されています。
しかし園芸用で見かけないフジバカマなどは広く知人に声を掛け、松田市の農家から提供いただいたそうです。クズも葉であれば道端でも頻繁に見かけますが、綺麗に花はなかなか入手が難しく、収集には予想外に苦労したとのこと。
堀野さんは「私にとっての癒しは花」と考えており、月の下であれば更に格別とのこと。
そのため本作が掲載された雑誌にも『秋の夜長、最高の癒しは私たちに力をくれる満月。そしてその光の下、命を注がれた草花はまるで美しい調べを奏でているかのようです』と寄稿されています。
間もなく迎える中秋を、本品を眺めながら叙序圓の食事でお祝いしてみませんか?
【アーティスト紹介】
堀野 篤人
本業は機械設計技術者。伝統工芸鎌倉彫において教授会皆伝免許、押し花において日本ヴォーグ社のインストラクター免許を取得して、自然素材を用いた様々な芸術作品の創作に挑戦。海老名美術協会会員。
鎌倉彫は母である教授会師範の堀野孔翔に師事、その作風「構図を重視した絵画的図案に基づく木彫」の伝承を目指して雅号「研翔」を名乗る。
また押し花においては「押し花ノア」桐ケ谷恵美子先生に師事、花を育てる段階から一貫した作品作りを目指している。