今月の叙序圓ギャラリーは、鎌倉彫のパネル『岩間の椿』です。
この作品はいつも叙序圓ギャラリーに作品を提供してくれる堀野さんの師匠でありお母様でもある、孔翔先生の作品になります。

先日ご紹介した同じ椿のモチーフを扱った作品でも用いている『彫と板面のコントラスト』によって、崖に咲く椿の遠近感を演出しています。
更に、白椿を表現するために『タタキ』と言われる技法が用いられています。
『タタキ』は堀野さんたちが所属する『藤孔会』でしばしば使われる独特の技法で、漆で仕上げられた後に上からシルバーに光る物質を被せます。ただし、使用するのは漆と反応する銀や鉄ではありません。
この図案は孔翔先生の師匠で、『藤孔会』創設者の田中孔山先生によるもの。椿は田中先生が最も好み、得意とする題材でした。
孔山先生の代表的な図案『紅白の椿』は江ノ電鎌倉駅でも見ることができます。
改札を抜けてホームへ向かう途中に左側の壁に鎌倉彫の代表的会派の先生方の作品が埋め込まれていますので、江ノ電をご利用の際には是非お立ち寄りください。
【アーティスト紹介】
堀野 篤人
本業は機械設計技術者。伝統工芸鎌倉彫において教授会皆伝免許、押し花において日本ヴォーグ社のインストラクター免許を取得して、自然素材を用いた様々な芸術作品の創作に挑戦。海老名美術協会会員。
鎌倉彫は母である教授会師範の堀野孔翔に師事、その作風「構図を重視した絵画的図案に基づく木彫」の伝承を目指して雅号「研翔」を名乗る。
また押し花においては「押し花ノア」桐ケ谷恵美子先生に師事、花を育てる段階から一貫した作品作りを目指している。