今回の叙序圓ギャラリーは押し花絵『宇宙(そら)をつなぐ』。日本ヴォーグ社『私の花生活』で募集された『夢・ドリーム』特集に掲載された作品です。
雑誌の『読者をつなぐ』というサブテーマにかけて、星々をつなぐ汽車から眺める地球の夜景はさぞ美しいだろうなあ…という思いを、アナベルの光やウラシマソウのビル群で描いています。
ウラシマソウはサトイモ科テンナンショウ属の植物で、仏炎苞と呼ばれる花の外側部の模様が独特で押し花では使い道の多い草花。
人里に近い明るい林に生息し、以前は簡単に見つけられましたが、生息域の減少に伴いすっかり珍しい存在になってしまいました。それでも押し花絵の作家たちの間では人気が高く、庭で育てている方も少なくないのだとか。
色々な植物の生息が危ぶまれたり、採集が制限される現代社会。そういった現実も理解し対策を施した上で、なお本物の花を使う事に価値がある、そこから命あるものたちの意義と美しさを感じ取れるのではないでしょうか。
【アーティスト紹介】
堀野 篤人
本業は機械設計技術者。伝統工芸鎌倉彫において教授会皆伝免許、押し花において日本ヴォーグ社のインストラクター免許を取得して、自然素材を用いた様々な芸術作品の創作に挑戦。海老名美術協会会員。
鎌倉彫は母である教授会師範の堀野孔翔に師事、その作風「構図を重視した絵画的図案に基づく木彫」の伝承を目指して雅号「研翔」を名乗る。
また押し花においては「押し花ノア」桐ケ谷恵美子先生に師事、花を育てる段階から一貫した作品作りを目指している。